

病院・クリニック・医療機関のための 法律相談

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選ばれる理由
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医療機関特有の法律問題について
詳しい弁護士が対応医療機関特有の法律問題に詳しく、数多くの法律問題を解決した実績と経験を有しています。
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ご相談やご依頼には基本的には複数名の弁護士で対応し、手厚いサポートをさせていただきます。 -
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迅速に対応忙しくて時間がない場合でも、Web面談やメール、チャットワーク、お電話などでの相談により迅速に対応させていただきます。緊急時の相談にも優先してご対応させていただきます(いずれも顧問契約をしていただいたお客様のみ)。
ATTORNEYS弁護士紹介

代表弁護士
瀬合 孝一
kouichi segou
医療機関を法的リスクから守る
法律事務所瀬合パートナーズ 代表弁護⼠の瀬合孝⼀です。
当事務所は神戸と姫路の2拠点に事務所を構え、地域の皆様に質の高いリーガルサービスを提供することを目指しております。
医療関係の皆様には、多忙な日常業務の中で、トラブルに対応する時間的・精神的余裕がないことが多いと思います。そのようなとき当事務所がサポートさせていただくことで、医療関係の皆様のご負担を減らし、業務に専念できる環境づくりをお手伝いさせていただければと思います。
代表弁護士
瀬合 孝一
kouichi segou
COLUMN医療法務に関する
弁護士コラム
様々な情報を掲載しております。
ぜひお役立てください。
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医療広告ガイドラインとは?広告表示の際に注意すべき点を弁護士が解説
第1 医療広告ガイドラインとは? 医療広告については、医療法をはじめとした法律により制限されてきましたが、美容医療サービスに関する消費者トラブルの増加を受け、平成30年に医療法が法改正されたことでウェブサイトが規制対象となる等、規制の対象が拡大しています。医療広告ガイドラインは、医療広告に対する法的規制を前提として、医療機関が広告を行う際に遵守すべき基準を定めた指針となります。 第2 医療広告ガイドラインが適用されるもの・適用されないもの 1 医療広告ガイドラインが適用されるもの 医療広告とは、①患者を誘引する意図があること(誘因性)、②医業若しくは歯科医業を提供する者の氏名若しくは名称又は病院若しくは診療所の名称が特定可能性であること(特定性)の2要件を満たすものと定義されます。この2要件に該当する広告は、医療広告として規制対象となります。 2 医療広告ガイドラインが適用されないもの 以下のようなものは、上記2要件を満たさず、原則、医療広告に当たりません。①学術論文、新聞記事②新聞や雑誌等での記事③患者等が自ら掲載する体験談、手記等④院内掲示、院内で配布するパンフレット等⑤医療機関の職員募集に関する広告 3 認められている広告内容 医療法第6条の5第3項には、以下の内容が広告可能事項とされており、その他の事項については広告することは出来ません。① 医師または歯科医師である旨② 診療科名③ 病院又は診療所の名称、電話番号、所在の場所を表示する事項並びに病院又は診療所の管理者の氏名④ 診療日若しくは診療時間又は予約による診療の実施の有無⑤ 法令の規定に基づき一定の医療を担うものとして指定を受けた病院若しくは診療所又は医師若しくは歯科医師である場合には、その旨⑥ 厚生労働大臣による認定を受けた医師(医師少数区域経験認定医師)である場合には、その旨⑦ 地域医療連携推進法人の参加病院等である場合には、その旨⑧ 入院設備の有無、病床の種別ごとの数、医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の従業者の員数その他の当該病院又は診療所における施設、設備又は従業者に関する事項⑨ 当該病院又は診療所において診療に従事する医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療従事者の氏名、年齢、性別、役職、略歴その他のこれらの者に関する事項であって医療を受ける者による医療に関する適切な選択に資するものとして厚生労働大臣が定めるもの⑩ 患者又はその家族からの医療に関する相談に応ずるための措置、医療の安全を確保するための措置、個人情報の適正な取扱いを確保するための措置その他の当該病院又は診療所の管理又は運営に関する事項⑪ 紹介をすることができる他の病院若しくは診療所又はその他の保健医療サービス若しくは福祉サービスを提供する者の名称、これらの者と当該病院又は診療所との間における施設、設備又は器具の共同利用の状況その他の当該病院又は診療所と保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との連携に関する事項⑫ 診療録その他の診療に関する諸記録に係る情報の提供、第6条の4第3項に規定する書面の交付その他の当該病院又は診療所における医療に関する情報の提供に関する事項⑬ 当該病院又は診療所において提供される医療の内容に関する事項(検査、手術その他の治療の方法については、医療を受ける者による医療に関する適切な選択に資するものとして厚生労働大臣が定めるものに限る)⑭ 当該病院又は診療所における患者の平均的な入院日数、平均的な外来患者又は入院患者の数その他の医療の提供の結果に関する事項であって医療を受ける者による医療に関する適切な選択に資するものとして厚生労働大臣が定めるもその他厚生労働大臣が定める事項⑮ その他前各号に掲げる事項に準ずるものとして厚生労働大臣が定める事項 広告可能なのは、原則、上記各事項に限られるものの、以下のいずれの要件も満たした場合は、他の事項も広告することが可能です。① 医療に関する適切な選択に資する情報であって患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準じる広告であること② 表示される情報の内容について、患者等が容易に照会ができるよう、問い合わせ先を記載することその他の方法により明示すること③ 自由診療に係る通常必要とされる治療等の内容、費用等に関する事項について情報を提供すること④ 自由診療に係る治療等に係る主なリスク、副作用等に関する事項について情報を提供すること 第3 医療広告ガイドラインに抵触する広告の具体例 (1)広告が許可されていない事項の掲載 前記のとおり、医療法第6条の5第3項には広告可能事項が定められており、それ以外の事項については原則として広告することが出来ません。 (2)虚偽の広告 虚偽内容の広告は禁止です。「絶対安全な手術です!」 「どんなに難しい症例でも必ず成功します」といった広告も、医学上あり得ないため、虚偽広告として禁止されます。 (3)他の病院や診療所と比較して優れているとする広告 自らの病院等が他の医療機関よりも優良である旨を広告することは禁止されます。例えば、 「肝臓がんの治療では、日本有数の実績を有する病院です。」 「当院は県内一の医師数を誇ります。」といった広告がこれに当たります。 (4)誇張表現を含む広告 事実を不当に誇張したり、人に誤認させる広告は禁止されます。「医師数○名(○年○月現在)」 といった広告も、その後の状況の変化により、医師数が大きく減少した場合には、誇大広告として取り扱われるので、実態に即した人数に随時更新する必要があります。 (5)患者の体験談を使用した広告 体験談については、個々の患者の状態等により感想は異なるものであり、誤認を与えるおそれがあるため禁止されています。 (6)ビフォーアフターの写真を用いた広告 個々の患者の状態等により治療等の結果は異なりますので、誤認させるおそれがあるビフォーアフター写真等は禁止されています。もっとも、術前又は術後の写真に通常必要とされる治療内容、費用等に関する事項や、治療等の主なリスク、副作用等に関する事項等の詳細な説明を付した場合には、医療広告として認められます。 第4 広告の合法性を確認する手順 医療広告として禁止されるか否かは、以下の順で確認するのがよいでしょう。① 医療広告に該当するかどうかの確認 広告が医療広告の規制対象となる「誘引性」と「特定性」を備えているかを検討します。② 広告可能事項にあたるかの確認 医療広告にあたる場合、広告の内容が医療法第6条の5第3項の広告可能事項の範囲内であるかを確認します。③ 医療広告で禁止された内容かを確認 誇大表現や虚偽記載がないかをガイドラインに基づいて確認します。 第5 規定違反が発覚した場合の対応措置 違反が疑われる場合、医師や病院に対し、説明を求める等の任意調査、報告命令又は立入検査が行われることになります。そして、違反が確認できた場合、行政指導により広告の中止や内容の是正を求めることになります。行政指導に従わない場合や違反を繰り返す等の悪質な事例の場合には、違反広告を行った者に対し、広告の中止命令又は是正命令が行われます。 虚偽広告であった場合や中止命令若しくは是正命令に従わなかった場合には6月以下の懲役又は30万円以下の罰金、報告命令又は立入検査に対する違反の場合には20万円以下の罰金が科されます。 違反の疑いがあるとして調査が開始された場合には、広告内容について積極的に説明を行う必要がありますが、任意での広告中止又は内容の是正を求められた場合には、指導に応じた方がよいでしょう。 第6 弁護士の必要性 広告内容の適法性確認や行政指導への対応には、法的知識が求められます。作成した広告が医療広告ガイドラインに違反する場合、刑事罰を科される可能性もあるため、事前に専門家に相談することが重要です。医療機関としての信頼を守るためにも、新たな医療広告を出す際は、事前に弁護士にご相談ください。
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人材紹介のトラブルと金銭問題:医療機関経営者が知っておくべき注意点
1 医療機関における人材紹介のトラブルの現状 医療機関が人材紹介サービスを利用する際には、効率的な採用が期待できる一方で、トラブルや金銭的問題が発生するリスクもあります。実際に、人材紹介サービスを利用する医療機関からは、以下のようなトラブルが報告されています。・人材紹介会社との契約内容が不明瞭で、返金や保証が適切に行われない。・高額な紹介手数料を支払ったにも関わらず、紹介された人材が短期間で退職する。・信頼性の低い業者の選定により、予想外の損失が発生する。 2 人材紹介サービスで起こりうる金銭トラブルとは? 以下のような場合に、人材紹介会社との間で金銭的トラブルが発生するおそれがあります。・不明確な手数料:手数料の内訳や説明が不明で、人材紹介会社から、契約時に認識していた金額とは異なる金額の手数料を請求された場合。・早期退職による返金問題:採用者が早期退職した場合の返金規定が明記されていない場合。・違法行為の可能性:法律で定められた上限を超える手数料請求や不適切な契約条件。 3 トラブル事例:看護師の早期退職と金銭問題 医療機関で採用された看護師が採用後1カ月以内に退職したため、医療機関は、人材紹介会社に支払った手数料の返金を求めようとしました。しかし、人材紹介会社は、契約書に人材が早期退職した場合の返金条項を入れていませんでした。 このような場合、人材紹介会社は契約書に返金について定めた条項がないことを理由に返金対応を拒否するでしょう。早期退職時の返金規定がない以上、医療機関が返金を求めるのは困難です。医療機関は、再びコストをかけて新たな採用活動をせざるを得えません。 4 人材紹介会社との金銭トラブルを避けるためのポイント (1)認定職業紹介会社から選ぶ 厚生労働省は、法令遵守及び採用・定着・マッチングについて一定の基準を満たした職業紹介事業者について、職業紹介優良事業者と認定し、認定マークを利用する権利を与えています。職業紹介優良事業者としての認定を受けるには、手数料を公開している、早期退職時の返金制度を定めている等の厳しい審査基準を満たす必要があります。職業紹介優良事業者から人材紹介会社を選んでおけば、トラブルとなるリスクを低減することができます。 (2)契約内容を確認する 以下のポイントについて契約書に記載があるか、しっかりと確認しておきましょう。契約書の内容を事前に専門家に確認してもらうことも有効です。・返金規定や保証期間・手数料の内訳・紹介を受けた労働者が早期退職した場合の対応 (3)手数料の相場を把握する 一般的には、紹介手数料は紹介した労働者の年収の30%〜35%程度が相場と言われています。この範囲は、職種や業界、紹介する人材の専門性や希少性によって異なる場合があります。例えば、エグゼクティブ層や専門職向けの人材紹介の場合、手数料率が高くなる傾向があります。一方、一般的な職種では上記範囲内に収まることが多いので、この範囲を超過する場合は慎重に判断する必要があります。 5 法律で定められた人材紹介手数料 (1)紹介手数料の上限 紹介手数料の徴収方法は、「①上限制手数料」または「②届出制手数料」の2つがあります。人材紹介会社は、事業の許可申請時に①か②のどちらかを厚生労働省に届け出ることになります。 「①上限制手数料」では、紹介した労働者に支払った6ヶ月分の賃金の11%(免税事業者は10.3%)を限度に紹介手数料の徴収が可能です。 「②届出制手数料」では、厚生労働大臣に届け出た範囲内で自由に手数料額を定めて徴収することができます。しかし、実務的には紹介した労働者の年収の50%を超えた手数料額を届け出ても許可が下りないため、実質的に50%が上限となっています。 (2)禁止行為 人材紹介会社は、職業安定法上、以下のような行為を禁止されています。・求職者側から手数料を徴収することは、原則禁止されています。・人材紹介会社は、自己の名義をもって、他人に有料の職業紹介事業を行わせてはなりません。・人材紹介会社は、厚生労働大臣に対してあらかじめ届け出た職種以外について、人材紹介を行うことは出来ません。また、港湾運送業務及び建設業務は一律に人材紹介が禁止されています。 6 医療機関経営者が取るべき対策 (1)契約時の注意点 人材紹介会社との契約書の内容を十分に確認し、手数料額や早期退職時の返金について不明瞭な点があれば契約を締結しないことが重要です。 (2)雇用条件の見直し 採用した労働者が長期雇用となるかは、採用した側の企業努力も必要です。労働者が長期間勤務しやすい環境を整えるため、以下のような取り組みを行うことが考えられます。・柔軟な勤務体制の整備・福利厚生の充実・メンタルヘルスサポートの提供 (3)相談窓口の活用 人材紹介に関するトラブルについて、厚生労働省や各都道府県の労働局が相談窓口を設置しています。トラブルが発生した際は、各相談窓口を積極的に利用してアドバイスを得るようにしましょう。 7 弁護士への相談の必要性 人材紹介会社との契約内容に問題がある、人材紹介会社が返金対応を拒否するといったトラブルが発生している場合、契約書の内容を精査して法的な観点から問題解決を検討する必要があります。早期に適切な対応を講じることで、トラブルが大きくなることを未然に防ぐことも出来ますので、人材紹介会社とのトラブル発生時には、弁護士にご相談ください。 8 まとめ 医療機関が人材紹介サービスを利用する際には、信頼できる業者の選定や契約内容の確認が重要です。円滑な人材採用が実現すれば、医療機関の経営を安定につながります。トラブルが発生した際には、法律に基づいた適切な対応を講じることで、金銭トラブルのリスクを最小限に抑えることができますので、早期に相談窓口や弁護士を活用して適切な解決策を講じることが必要です。
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医療業界におけるカスタマーハラスメント対応について弁護士が解説
1 医療機関におけるカスハラの現状 (1)カスハラとは カスタマーハラスメント(カスハラ)は、顧客が従業員に対して不当な要求や暴言を行う行為を指します。医療機関における顧客とは、患者やその家族のことを指します。つまり、医療機関におけるカスハラとは、患者やその家族がスタッフに対して過度な要求をしたり、暴言を吐いたりする行為をいいます。 (2)医療機関におけるカスハラの具体例 医療機関においては、たとえば、以下のような行為がカスハラにあたります。 ・長時間の電話や頻繁な来院による時間の拘束・診療時間外や予約時間外の来院・理不尽な要求の繰り返し(例:自分の思い通りの診断書を要求する)・暴言や大声での怒鳴り・暴力行為や脅迫 2 カスハラによって発生する医療機関の損失 (1)離職率増加 カスハラはスタッフに大きな精神的ストレスを与え、離職率の増加につながります。ストレスが蓄積すると、職場環境が悪化し、優秀な人材が流出する可能性があります。 (2)稼働工数の低下 カスハラ対応に時間を割かれることで、本来の業務に集中できず、稼働工数が低下します。これにより、他の患者へのサービスの質が低下してしまいます。 3 医療機関でカスハラされた際の対応 (1)事実関係の確認と対応 カスハラが発生した場合、事実関係を正確に確認し、適切な対応を行います。カスハラ被害者に遭ったスタッフからの事情聴取は必須です。また、録音や防犯カメラ映像等の客観的な証拠を収集することもできればベストです。 確認の結果、正当な要求ではなく不当な要求(カスハラ)だと判明した場合は、無理に落としどころを探るのではなく、毅然とした対応を取ることが重要です。 (2)スタッフへの配慮 被害者となったスタッフへのメンタルヘルスケアや適切な配慮を行います。カスハラが繰り返される場合には、スタッフ一人で対応させるのではなく、複数名あるいは組織で対応するのがよいでしょう。 (3)再発防止策 同様の事案が再発しないようにするための措置を講じます。院内で事例を共有し、定期的にルールを見直していくことが必要です。 4 医療機関でのカスハラ予防策 事業者(病院経営者)としては、平時からカスハラを想定して、以下のような事前準備を行っておくべきです。 (1)基本方針の明確化 事業者は、カスハラに対する基本方針・基本姿勢を明確にし、それをスタッフに周知・啓発する必要があります。これによって、スタッフがカスハラに対する病院の姿勢を理解し、適切に対応できるようになります。院内に、カスハラを許さない旨のポスターを提示することも考えられます。 (2)相談対応体制の整備 スタッフがカスハラの被害を受けた際に相談しやすい体制を整備することが重要です。たとえば、相談窓口の設置や、専門の相談員の配置などです。 (3)対応方法・手順の策定 具体的な対応方法や手順を策定し、スタッフが迅速かつ適切に対応できるようにします。たとえば、カスハラ発生時の初動対応、エスカレーションの手順、記録の方法などを決めたカスハラマニュアルを作成すべきです。その際、一般企業向けのカスハラマニュアルをそのまま流用するのではなく、医療機関特有のクレーム内容を反映させ、実践的な内容にすると良いでしょう。 (4)スタッフ教育・研修 社内対応ルールについてスタッフに教育・研修を行い、全員が共通の認識を持つようにします。これにより、全スタッフが一貫した対応を取ることができます。 5 弁護士の必要性 カスハラが法的問題に発展する可能性がある場合には弁護士への相談が必要です。弁護士は法的手続きや交渉のサポートを行い、医療機関側のリスク管理に貢献します。弁護士が窓口になるだけで、カスハラが止むこともあります。また、弁護士と連携してマニュアル作成や研修内容の充実化も図れます。 以上のように、医療機関ではカスタマーハラスメントへの適切な対応と予防策が求められています。カスハラ対応を検討中の医療機関の方は、ぜひこの分野に詳しい弁護士にご相談ください。
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オンライン診療
1.はじめに コロナ禍でオンライン診療が注目されています。しかし、実際にオンライン診療を行っているという話はあまり聞こえてきません。オンライン診療には、どのような法律上の注意点があるのでしょうか。 2.医師法20条違反になるか オンライン診療を行うにあたって注意しなければならないのは、医師法違反にならないかどうかです。医師法20条は,医師が「自ら」診察せずに治療等をしてはならないと規定しています。オンライン診療は,医師が患者の目の前にいるわけではなく、あくまで画面越しにいるだけですので、医師が「自ら」診察したことにならないのではないかが問題となるのです。 しかし、わざわざ病院に行かなくてもよいオンライン診療は、過疎地や離島の医療を支える手段として期待されています。また、「病院に診察を受けに行って逆に風邪をもらってきた」という話はよくありますが、このような二次感染のリスクを防ぐこともできます。 そこで、平成9年以降、厚生労働省は数々の通達を出し、徐々にオンライン診療を認める範囲を広げています。厚生労働省の定める「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の定める内容を遵守してオンライン診療を行えば、医師法20条違反にはなりませんので、同指針の内容を正確に理解しておくことが重要です。以下では、令和4年1月に改訂された「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の概要について解説します。 3.「オンライン診療の適切な実施に関する指針」令和4年1月改訂の概要 (1)初診はかかりつけ医の原則 オンライン診療では、得られる情報が視覚と聴覚に限られています。触診はできませんし、細かな顔色や表情等を画面越しに読み取るのも限界があります。そのため、オンライン診療には、疾病の見落としや誤診のリスクがあります。 そこで、こうしたリスクをできる限り低減させるため、オンライン診療の初診は、原則として、日ごろから患者の心身の状態を把握しているかかりつけ医が行うこととされています。もっとも、患者の十分な医学的情報を、過去の診療録等から事前に把握でき、医師が可能と判断した場合は、かかりつけ医以外が初診からオンライン診療を行うこともできます。この場合、事前に把握した情報を診療録に記載する必要があります。 (2)診療前相談について このように、かかりつけ医以外が、初診からオンライン診療を行おうとする場合に、事前の情報把握のために、医師・患者間で映像を用いたリアルタイムのやり取りを行い、医師が患者の症状及び医学的情報を確認する行為を、「診療前相談」といいます。診療前相談には、診断、処方その他の診療行為は含まれません。 診療前相談を行うにあたっては、結果としてオンライン診療が行えない可能性があることや、診療前相談の費用等について、あらかじめ患者に十分周知することが必要です。 診療前相談により、適切な情報が把握でき、医師と患者の双方がオンライン診療可能と判断し、相互に合意した場合に、オンライン診療を行うことができます。診療前相談により、オンラインではなく対面での受診が必要と判断した場合は、対面診療を行う必要があります。その対面診療を行うのが他院である場合は、診療前相談で得た情報を、必要に応じて適切に提供しなければなりません。 (3)症状について 上述の通り、オンライン診療では,得られる情報が限られているため、オンライン診療に適さない症状があります。一般社団法人日本医学会連合が作成した「オンライン診療に適さない症状」等を踏まえて、オンライン診療が困難な症状ではないかを医師が判断し、オンライン診療が適さないと判断した場合には対面診療を行う(又は対面診療可能な医療機関を紹介する)ことが求められています。また、緊急性が高い症状の場合は、患者に対し速やかに対面受診を促すこととされています。 (4)処方について オンライン診療によって得られ情報は限られているため、初診の段階から安全に処方することのできない医薬品があります。そのため、初診からオンライン診療の場合や、オンライン診療で新たな疾患に対して医薬品の処方を行う場合は、一般社団日本医学会連合が作成した「オンライン診療の初診での投与について十分な検討が必要な薬剤」等、関係学会が定める診療ガイドラインを参考に行うこととされています。 また、初診の場合に以下の処方は行わないこととされています。 麻薬及び向精神薬の処方 基礎疾患等の情報が把握できていない患者に対する、特に安全管理が必要な薬品(診療報酬における薬剤管理指導料の「1」の対象となる薬剤)の処方 基礎疾患等の情報が把握できていない患者に対する8日分以上の処方 (5)対面診療の実施体制 かかりつけ医以外が初診からオンライン診療を行う場合、安全性を担保するため、オンライン診療後に対面診療につなげられるようにしておくことが求められます。具体的には、オンライン診療後に対面診療が必要と判断した場合には、以下の対応が求められます。 かかりつけ医がいる場合→オンライン診療を実施した医師が、かかりつけ医に当該患者を紹介する。 かかりつけ医がいない場合→オンライン診療を実施した医師が対面診療を行うことが望ましいが、患者の近隣の医療機関を紹介することもありうる。ただし、オンライン診療を実施した医師自身では対応困難な疾患・病態の患者や緊急性のある場合については、より適切な医療機関に自ら連絡して紹介する。 4.まとめ 以上の通り、オンライン診療には大きな可能性もありますが、リスクも伴います。オンライン診療を安全に行うため、またオンライン診療について法的責任を問われないためにも、厚生労働省や日本医学会連合の最新の動向を把握しておく必要があります。オンライン診療についてお悩みの医療機関の方がいらっしゃいましたら,ぜひ医療法務に精通した弁護士にご相談ください。
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インフォームド・コンセントと医師の説明義務
1.インフォームド・コンセントとは インフォームド・コンセントとは、診療に先立ち医師が患者に十分な情報を提供し、患者がその内容を理解したうえで診療について同意していることをいいます。診療にあたって患者の自己決定権を尊重するための概念といわれています。 診療行為は患者の病気の治癒や生命の維持を目的とするものですが、その過程において、患者の身体への侵襲を伴うことがあります。このような診療行為が刑法上正当化されるためには、原則として、患者本人ないしこれに準ずる者の同意があることが必要です。なお、診療行為が正当化されるためには、その他にも当該行為が医学的にみて診療の目的に適合するものであり、かつ、手段として相当なものであることが必要ですので、ご注意ください。 2.医師の説明義務 (1)インフォームド・コンセントと説明義務 上記1のとおり、インフォームド・コンセントとは、患者が診療を受けるか否かの意思決定を行うために必要な情報を与えられたうえで診療に同意していることを意味します。すなわち、「診療を受けるか否かの意思決定を行うために必要な情報を与えられている」とは、裏を返せば、「医師から診療に関する十分な説明を受けている」ということがいえます。 このように、医師の説明義務が十分に履行されることによって、インフォームド・コンセントの有効性が担保されることになるので、インフォームド・コンセントと医師の説明義務とは、表裏一体の関係にあるともいえるでしょう。 なお、判例上、医師の説明義務は、診療契約に不随する義務として、医師の診療債務の一部を構成するものと位置づけられていますので、この説明義務に違反した場合、債務不履行に該当し、損害賠償の対象となるおそれがあります。 (2)説明すべき項目 では、医師は診療行為を行うにあたり、どのような項目について患者に説明すべき義務を負うのでしょうか。 この点、平成13年11月27日最高裁判決は、「医師は、患者の疾患の治療のために手術を実施するに当たっては、診療契約に基づき、特別の事情のない限り、患者に対し、①当該疾患の診断(病名と病状)、②実施予定の手術の内容、③手術に付随する危険性、④他に選択可能な治療方法があれば、その内容と利害得失、⑤予後などについて説明すべき義務があると解される」と述べています。 なお、厚労省診療情報提供指針や医師会診療情報提供指針においても、説明すべき項目があげられていますので、ご参考にしてください。 3.トラブルを避けるためのポイント 後に、医療過誤の疑いが出て、患者や遺族側とその代理人が医療記録を入手した際に、当時、担当医師が説明義務を履行していたことが一見してわかるように、侵襲的な治療や検査を行う際には、その患者特有の危険性があるかを考えて、上記2の判例に示された①から⑤の項目を説明した旨を説明文書等にして記録に残すようにしましょう。 なお、術前説明が行われた後は、患者の認識や言動などを看護記録に残すことで上記の項目の説明義務が履行されたことの間接的な証拠にもなり得ますので、普段から看護士にそのように指導していただくとよいでしょう。 説明義務やインフォームド・コンセントに関してお悩みの病院経営者・医師の方は、この問題に詳しい弁護士にご相談ください。
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医療機関における保険診療の個別指導対応と注意点
1.はじめに 保険診療のルールの周知を目的として、一定の条件にあてはまる病院について、厚生局による個別指導が行われることがあります。医院の側がこの個別指導への対応を誤ると、1度では個別指導が終了とならず再度個別指導(再指導)が実施されることになったり、場合によっては監査の対象になってしまうこともあります。 そして、監査の対象になってしまうと、最悪の場合には、医院の保険医療機関の指定(保険医の登録)の取消処分といった、病院の経営破綻にもつながりかねない重大な不利益処分を受けるおそれがあります。 他方で、医院が個別指導を受けることは健康保険法等によって義務とされており、医院が指導を拒否することは認められていません(実際上の扱いとしても、医院が個別指導を拒否すれば、監査の対象とされてしまうおそれがあります)。 最悪の事態を回避するためにも、医院が再指導や監査の対象となることがないように、個別指導が行われる前の段階で、個別指導についての十分な対策を立て、適切に対応する必要があります。 以下で、これらの点について具体的に解説していきます。 2.個別指導の事前準備 (1)専門家との対応方法の協議 個別指導の準備として、事前に個別指導について専門的知見を有する弁護士等と協議し、個別指導において問題となりうる点を確認したうえで、その対応方法を決めておくことが重要です。 これにより、必要資料等の準備不足や、個別指導担当官への不適切な対応等によって、医院が再指導や監査の対象となることを防止する効果が期待できます。 上述のように、個別指導は、ときに重大な不利益処分につながりうるものであるため、対応される医師の方には大きなプレッシャーがかかるのが通常です。予め弁護士等と打合せをして個別指導への対応方針を固め、医師の方のプレッシャーを軽減することで、適切な対応がとりやすくなるでしょう。 (2)指定された持参物の準備等法の協議 指定された持参物を準備しないで個別指導に臨むと、再指導の対象になるおそれがありますので、持参物の準備についても、事前に打ち合わせておく必要があります。 特に、いわゆる電子カルテの取り扱いをめぐっては、原則としてプリントアウトしたものに医師の署名・押印が求められることなど、準備にあたって注意すべき点が少なくありません。 また、個別指導の実施前に診療録へ追記すると、場合によっては改ざんとして扱われてしまい、監査につながるおそれがありますので、注意しましょう。 3.個別指導における対応 (1)弁護士の同席 弁護士は、個別指導に同席することが認められています。個別指導に弁護士が同席することで、担当官から威圧的な指導や根拠に欠ける不当な要求を受けないよう、厚生局の側をけん制する効果が期待できます。 また、場合によっては、不当な指導・自主返還要求に対して是正を求めることもできますし、「誘導されて事実に反することを認めさせられてしまった」、「正当な指摘に対して感情的に反発してしまい、状況が悪化してしまった」といった事態を防ぐことにもつながります。 (2)誤りの是正 診療録の記載等に関するルールが複雑であることもあって、いざ個別指導が実施されれば、多くの場合、何らの不備・誤りが指摘されることになります。そして、指摘された内容が正当であるときは、医院の側は不正請求の意図がないことや不備の是正に応ずる意思があることを明確に示す必要があります。 正当な指摘に対してみだりに争う態度をとってしまうと、再指導等の対象とされてしまうおそれがありますので、冷静で的確な対応が求められます。 4.最後に 以上のように、厚生局による個別指導の対象となった場合には、不当な指導を防ぐとともに、再指導や監査等に発展することがないようにするため、事前に法的知見もふまえた十分な対策を立て、指導の状況に即した適切な対応をとることが必要になります。 もし、「個別指導の対象となってしまったが、どのような対策を立てたらよいのか分からない」、「不当な個別指導にどのように対処してよいか分からず不安に思っている」といったことでお困りなら、保険診療の個別指導対策に詳しい弁護士にご相談されるのがよいでしょう。
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