病院・クリニック・医療機関のための 法律相談
BUSINESS取扱業務のご案内
様々な法律問題について、
包括的な法務サービスを提供します。
医療法務に精通している私たちに
お任せください。
REASON瀬合パートナーズが
選ばれる理由
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医療機関特有の法律問題について
詳しい弁護士が対応医療機関特有の法律問題に詳しく、数多くの法律問題を解決した実績と経験を有しています。
それぞれの医療機関にとって最適な解決方法をご提案させていただきます。 -
複数名体制で、
⼿厚いサポートを実現当事務所には10数名の弁護士が在籍しており、神戸・姫路の拠点間も密に連携しています。
ご相談やご依頼には基本的には複数名の弁護士で対応し、手厚いサポートをさせていただきます。 -
Webやメールでの
ご相談にも
迅速に対応忙しくて時間がない場合でも、Web面談やメール、チャットワーク、お電話などでの相談により迅速に対応させていただきます。緊急時の相談にも優先してご対応させていただきます(いずれも顧問契約をしていただいたお客様のみ)。
ATTORNEYS弁護士紹介
代表弁護士
瀬合 孝一
kouichi segou
医療機関を法的リスクから守る
法律事務所瀬合パートナーズ 代表弁護⼠の瀬合孝⼀です。
当事務所は神戸と姫路の2拠点に事務所を構え、地域の皆様に質の高いリーガルサービスを提供することを目指しております。
医療関係の皆様には、多忙な日常業務の中で、トラブルに対応する時間的・精神的余裕がないことが多いと思います。そのようなとき当事務所がサポートさせていただくことで、医療関係の皆様のご負担を減らし、業務に専念できる環境づくりをお手伝いさせていただければと思います。
代表弁護士
瀬合 孝一
kouichi segou
COLUMN医療法務に関する
弁護士コラム
様々な情報を掲載しております。
ぜひお役立てください。
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オンライン診療
1.はじめに コロナ禍でオンライン診療が注目されています。しかし、実際にオンライン診療を行っているという話はあまり聞こえてきません。オンライン診療には、どのような法律上の注意点があるのでしょうか。 2.医師法20条違反になるか オンライン診療を行うにあたって注意しなければならないのは、医師法違反にならないかどうかです。医師法20条は,医師が「自ら」診察せずに治療等をしてはならないと規定しています。オンライン診療は,医師が患者の目の前にいるわけではなく、あくまで画面越しにいるだけですので、医師が「自ら」診察したことにならないのではないかが問題となるのです。 しかし、わざわざ病院に行かなくてもよいオンライン診療は、過疎地や離島の医療を支える手段として期待されています。また、「病院に診察を受けに行って逆に風邪をもらってきた」という話はよくありますが、このような二次感染のリスクを防ぐこともできます。 そこで、平成9年以降、厚生労働省は数々の通達を出し、徐々にオンライン診療を認める範囲を広げています。厚生労働省の定める「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の定める内容を遵守してオンライン診療を行えば、医師法20条違反にはなりませんので、同指針の内容を正確に理解しておくことが重要です。以下では、令和4年1月に改訂された「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の概要について解説します。 3.「オンライン診療の適切な実施に関する指針」令和4年1月改訂の概要 (1)初診はかかりつけ医の原則 オンライン診療では、得られる情報が視覚と聴覚に限られています。触診はできませんし、細かな顔色や表情等を画面越しに読み取るのも限界があります。そのため、オンライン診療には、疾病の見落としや誤診のリスクがあります。 そこで、こうしたリスクをできる限り低減させるため、オンライン診療の初診は、原則として、日ごろから患者の心身の状態を把握しているかかりつけ医が行うこととされています。もっとも、患者の十分な医学的情報を、過去の診療録等から事前に把握でき、医師が可能と判断した場合は、かかりつけ医以外が初診からオンライン診療を行うこともできます。この場合、事前に把握した情報を診療録に記載する必要があります。 (2)診療前相談について このように、かかりつけ医以外が、初診からオンライン診療を行おうとする場合に、事前の情報把握のために、医師・患者間で映像を用いたリアルタイムのやり取りを行い、医師が患者の症状及び医学的情報を確認する行為を、「診療前相談」といいます。診療前相談には、診断、処方その他の診療行為は含まれません。 診療前相談を行うにあたっては、結果としてオンライン診療が行えない可能性があることや、診療前相談の費用等について、あらかじめ患者に十分周知することが必要です。 診療前相談により、適切な情報が把握でき、医師と患者の双方がオンライン診療可能と判断し、相互に合意した場合に、オンライン診療を行うことができます。診療前相談により、オンラインではなく対面での受診が必要と判断した場合は、対面診療を行う必要があります。その対面診療を行うのが他院である場合は、診療前相談で得た情報を、必要に応じて適切に提供しなければなりません。 (3)症状について 上述の通り、オンライン診療では,得られる情報が限られているため、オンライン診療に適さない症状があります。一般社団法人日本医学会連合が作成した「オンライン診療に適さない症状」等を踏まえて、オンライン診療が困難な症状ではないかを医師が判断し、オンライン診療が適さないと判断した場合には対面診療を行う(又は対面診療可能な医療機関を紹介する)ことが求められています。また、緊急性が高い症状の場合は、患者に対し速やかに対面受診を促すこととされています。 (4)処方について オンライン診療によって得られ情報は限られているため、初診の段階から安全に処方することのできない医薬品があります。そのため、初診からオンライン診療の場合や、オンライン診療で新たな疾患に対して医薬品の処方を行う場合は、一般社団日本医学会連合が作成した「オンライン診療の初診での投与について十分な検討が必要な薬剤」等、関係学会が定める診療ガイドラインを参考に行うこととされています。 また、初診の場合に以下の処方は行わないこととされています。 麻薬及び向精神薬の処方 基礎疾患等の情報が把握できていない患者に対する、特に安全管理が必要な薬品(診療報酬における薬剤管理指導料の「1」の対象となる薬剤)の処方 基礎疾患等の情報が把握できていない患者に対する8日分以上の処方 (5)対面診療の実施体制 かかりつけ医以外が初診からオンライン診療を行う場合、安全性を担保するため、オンライン診療後に対面診療につなげられるようにしておくことが求められます。具体的には、オンライン診療後に対面診療が必要と判断した場合には、以下の対応が求められます。 かかりつけ医がいる場合→オンライン診療を実施した医師が、かかりつけ医に当該患者を紹介する。 かかりつけ医がいない場合→オンライン診療を実施した医師が対面診療を行うことが望ましいが、患者の近隣の医療機関を紹介することもありうる。ただし、オンライン診療を実施した医師自身では対応困難な疾患・病態の患者や緊急性のある場合については、より適切な医療機関に自ら連絡して紹介する。 4.まとめ 以上の通り、オンライン診療には大きな可能性もありますが、リスクも伴います。オンライン診療を安全に行うため、またオンライン診療について法的責任を問われないためにも、厚生労働省や日本医学会連合の最新の動向を把握しておく必要があります。オンライン診療についてお悩みの医療機関の方がいらっしゃいましたら,ぜひ医療法務に精通した弁護士にご相談ください。
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インフォームド・コンセントと医師の説明義務
1.インフォームド・コンセントとは インフォームド・コンセントとは、診療に先立ち医師が患者に十分な情報を提供し、患者がその内容を理解したうえで診療について同意していることをいいます。診療にあたって患者の自己決定権を尊重するための概念といわれています。 診療行為は患者の病気の治癒や生命の維持を目的とするものですが、その過程において、患者の身体への侵襲を伴うことがあります。このような診療行為が刑法上正当化されるためには、原則として、患者本人ないしこれに準ずる者の同意があることが必要です。なお、診療行為が正当化されるためには、その他にも当該行為が医学的にみて診療の目的に適合するものであり、かつ、手段として相当なものであることが必要ですので、ご注意ください。 2.医師の説明義務 (1)インフォームド・コンセントと説明義務 上記1のとおり、インフォームド・コンセントとは、患者が診療を受けるか否かの意思決定を行うために必要な情報を与えられたうえで診療に同意していることを意味します。すなわち、「診療を受けるか否かの意思決定を行うために必要な情報を与えられている」とは、裏を返せば、「医師から診療に関する十分な説明を受けている」ということがいえます。 このように、医師の説明義務が十分に履行されることによって、インフォームド・コンセントの有効性が担保されることになるので、インフォームド・コンセントと医師の説明義務とは、表裏一体の関係にあるともいえるでしょう。 なお、判例上、医師の説明義務は、診療契約に不随する義務として、医師の診療債務の一部を構成するものと位置づけられていますので、この説明義務に違反した場合、債務不履行に該当し、損害賠償の対象となるおそれがあります。 (2)説明すべき項目 では、医師は診療行為を行うにあたり、どのような項目について患者に説明すべき義務を負うのでしょうか。 この点、平成13年11月27日最高裁判決は、「医師は、患者の疾患の治療のために手術を実施するに当たっては、診療契約に基づき、特別の事情のない限り、患者に対し、①当該疾患の診断(病名と病状)、②実施予定の手術の内容、③手術に付随する危険性、④他に選択可能な治療方法があれば、その内容と利害得失、⑤予後などについて説明すべき義務があると解される」と述べています。 なお、厚労省診療情報提供指針や医師会診療情報提供指針においても、説明すべき項目があげられていますので、ご参考にしてください。 3.トラブルを避けるためのポイント 後に、医療過誤の疑いが出て、患者や遺族側とその代理人が医療記録を入手した際に、当時、担当医師が説明義務を履行していたことが一見してわかるように、侵襲的な治療や検査を行う際には、その患者特有の危険性があるかを考えて、上記2の判例に示された①から⑤の項目を説明した旨を説明文書等にして記録に残すようにしましょう。 なお、術前説明が行われた後は、患者の認識や言動などを看護記録に残すことで上記の項目の説明義務が履行されたことの間接的な証拠にもなり得ますので、普段から看護士にそのように指導していただくとよいでしょう。 説明義務やインフォームド・コンセントに関してお悩みの病院経営者・医師の方は、この問題に詳しい弁護士にご相談ください。
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医療機関における保険診療の個別指導対応と注意点
1.はじめに 保険診療のルールの周知を目的として、一定の条件にあてはまる病院について、厚生局による個別指導が行われることがあります。医院の側がこの個別指導への対応を誤ると、1度では個別指導が終了とならず再度個別指導(再指導)が実施されることになったり、場合によっては監査の対象になってしまうこともあります。 そして、監査の対象になってしまうと、最悪の場合には、医院の保険医療機関の指定(保険医の登録)の取消処分といった、病院の経営破綻にもつながりかねない重大な不利益処分を受けるおそれがあります。 他方で、医院が個別指導を受けることは健康保険法等によって義務とされており、医院が指導を拒否することは認められていません(実際上の扱いとしても、医院が個別指導を拒否すれば、監査の対象とされてしまうおそれがあります)。 最悪の事態を回避するためにも、医院が再指導や監査の対象となることがないように、個別指導が行われる前の段階で、個別指導についての十分な対策を立て、適切に対応する必要があります。 以下で、これらの点について具体的に解説していきます。 2.個別指導の事前準備 (1)専門家との対応方法の協議 個別指導の準備として、事前に個別指導について専門的知見を有する弁護士等と協議し、個別指導において問題となりうる点を確認したうえで、その対応方法を決めておくことが重要です。 これにより、必要資料等の準備不足や、個別指導担当官への不適切な対応等によって、医院が再指導や監査の対象となることを防止する効果が期待できます。 上述のように、個別指導は、ときに重大な不利益処分につながりうるものであるため、対応される医師の方には大きなプレッシャーがかかるのが通常です。予め弁護士等と打合せをして個別指導への対応方針を固め、医師の方のプレッシャーを軽減することで、適切な対応がとりやすくなるでしょう。 (2)指定された持参物の準備等法の協議 指定された持参物を準備しないで個別指導に臨むと、再指導の対象になるおそれがありますので、持参物の準備についても、事前に打ち合わせておく必要があります。 特に、いわゆる電子カルテの取り扱いをめぐっては、原則としてプリントアウトしたものに医師の署名・押印が求められることなど、準備にあたって注意すべき点が少なくありません。 また、個別指導の実施前に診療録へ追記すると、場合によっては改ざんとして扱われてしまい、監査につながるおそれがありますので、注意しましょう。 3.個別指導における対応 (1)弁護士の同席 弁護士は、個別指導に同席することが認められています。個別指導に弁護士が同席することで、担当官から威圧的な指導や根拠に欠ける不当な要求を受けないよう、厚生局の側をけん制する効果が期待できます。 また、場合によっては、不当な指導・自主返還要求に対して是正を求めることもできますし、「誘導されて事実に反することを認めさせられてしまった」、「正当な指摘に対して感情的に反発してしまい、状況が悪化してしまった」といった事態を防ぐことにもつながります。 (2)誤りの是正 診療録の記載等に関するルールが複雑であることもあって、いざ個別指導が実施されれば、多くの場合、何らの不備・誤りが指摘されることになります。そして、指摘された内容が正当であるときは、医院の側は不正請求の意図がないことや不備の是正に応ずる意思があることを明確に示す必要があります。 正当な指摘に対してみだりに争う態度をとってしまうと、再指導等の対象とされてしまうおそれがありますので、冷静で的確な対応が求められます。 4.最後に 以上のように、厚生局による個別指導の対象となった場合には、不当な指導を防ぐとともに、再指導や監査等に発展することがないようにするため、事前に法的知見もふまえた十分な対策を立て、指導の状況に即した適切な対応をとることが必要になります。 もし、「個別指導の対象となってしまったが、どのような対策を立てたらよいのか分からない」、「不当な個別指導にどのように対処してよいか分からず不安に思っている」といったことでお困りなら、保険診療の個別指導対策に詳しい弁護士にご相談されるのがよいでしょう。
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医療事故に関する過度の賠償請求への対応方法
1.はじめに 近時、弁護士の増加の影響か、医療事件に不慣れな患者側弁護士が増えているとききます。 たとえば、診療記録等の資料を事前にすべて入手することなく、あるいは、診療記録等の資料を事前に十分に検討することなく、患者の主張に沿った過失内容を前提とした請求をしてきたり、損害を過大に請求してきたりするといった具合です。 このような場合、医療機関側としてはどのように対応すればよいのでしょうか。 2.対応方法 医師賠償責任保険を利用される場合、保険会社や医師会の意向に基づき、有責か無責かの判断をしてもらったうえで、示談交渉をしていくことになります。有責の判断の場合、過去の同種判例、事案の性質や結果の重大性等を考慮し、妥当な示談金額について、交渉をしていくことになります。患者又はその代理人弁護士からの過大な請求に安易に応じるべきではありません。 損害額については、交通事故における損害賠償の算定基準を参考に算定していくことになります。公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部編集・発行の「民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準」(いわゆる赤本)や、公益財団法人日弁連交通事故相談センター専門委員会編集・発行の「交通事故損害額算定基準・実務運用と解説」(いわゆる青本)等が参考になります。 無責の判断の場合、患者側にその旨を伝え、賠償には応じることはできない、あるいは見舞金程度をお支払いする旨を提案していくことになります。 医療事故問題に関してお困りの病院・クリニック経営の方は、この分野に詳しい弁護士にご相談ください。
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病院から出て行かない入院患者への対応方法
1.はじめに ① 入院の必要性がなくなったにもかかわらず、退院しない患者、又は②入院の必要性はあるものの、迷惑行為を繰り返す患者に対し、医療機関としては、どのように対応すればよいのでしょうか。また、強制的に退院させることはできるのでしょうか。 2.①入院治療の必要性がない場合 (1) 過去の判例に鑑みると、医師の応召義務との関係からも、病院が入院治療の必要性がない患者に対し、病室からの退去請求を行うためには、次の要件が必要と考えられます。なお、参考となる判例としては、東京地裁昭和44年2月20日判決や岐阜地裁平成20年4月10日判決があります。 ⅰ)入院治療を必要としないとする医学的判断 入院契約の目的は、病院側において、入院患者の症状を診察し、通院可能な程度にまで回復するよう治療をすることにあり、入院治療の必要性は、医師の医学的、合理的な判断にゆだねられているからです。 ⅱ)他の入院患者への迷惑や病院の業務への支障 対象者の入院を継続することで、他の入院患者に対する治療効果に悪影響を及ぼし、入院事務の円滑な遂行に支障をきたすだけでなく、他の入院を必要とする患者の入院治療の機会を奪うことにもなり、病院の運営上放任しがたい事態を惹き起こしているような場合、退去を認めるだけの必要性があるといえます。 ⅲ)退院請求の意思表示 退院請求の意思表示をすることで、入院を伴う診療契約は終了し、対象者は病室から退去すべき民事上の義務を負います。 口頭で説明しても退院に応じない場合には、退院を要請する旨の書面を交付することで、記録に残すようにしましょう。 3.②入院治療の必要性がある迷惑患者の場合 (1)この場合、病院が対象者である患者に対し、診療契約を解除し、退院請求を行うためには、医師の応召義務との関係から特に慎重に対応することが要求されます。 特に、外来診療の受診を拒否する場合と比べ、より強い正当な事由が必要とされるものと考えられます(医師法第19条第1項)。 正当な事由の有無とは、患者の病状、患者に必要とされる入院治療の内容、治療の緊急性の有無と、患者の入院中における問題行動の内容・程度、病院の業務への支障の程度、他の患者への迷惑の程度、病院と患者間の信頼関係の破壊の有無・程度、退院後の転院先の確保の有無など、諸般の事情を総合考慮して判断することになります。 4.退院請求の具体的な方法 では、退院請求をするにあたって、具体的にどのような方法が考えられるでしょうか。具体的には、以下の順に手続きを進めていくことになるでしょう。 ① 任意交渉・調停 まずは、任意で退院をするように交渉します。交渉のプロである弁護士に依頼されてもよいでしょう。 場合によっては、調停手続きを利用して、裁判所や調停委員を交えて話し合いをすることも検討するとよいでしょう。 ② 訴訟提起 交渉がうまくいかない場合、裁判所へ提訴することを検討しましょう。 対象者は、訴訟を無視すると敗訴判決が出ますので、対応せざるをえません。 さらに、対象者の治療費などが未払状態であり、その未払額が相当な金額にのぼるような場合には、治療費の未払を理由に入院契約を解除し、病室からの退院請求を行うことも考えられます。 その場合、建物の一部(病室)の明渡請求訴訟のほかに、未払の治療費がある場合は、金銭請求訴訟も一緒に請求することを検討します。ただし、この理由(治療費の未払)のみを根拠とすることは、医師の応召義務との関係から難しいので、ご注意ください。 なお、入院にあたり、連帯保証人、身元引受人もあわせて訴えることで、彼らと話し合いでの和解解決をすることも期待できます。 ③ 強制執行 判決が出ても任意で病室を明け渡さない場合、強制執行手続きをとる必要があります。但し、執行官が対象者の入院加療の必要性を危惧し、実際に病室の明渡しまで執行してくれない恐れがありますので、その点にご注意ください。 ④ 断行仮処分 対象者が悪質で、より迅速な処理が必要な場合は、断行仮処分を裁判所に申し立てることが考えられます。裁判所が定める金額を担保として提供する必要があります。 迷惑患者の対応に関してお困りの病院・クリニック経営の方は、この分野に詳しい弁護士にご相談ください。
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医療機関におけるクレーマー・モンスターペイシェントへの対応方法
1.医療機関におけるクレーマー・モンスターペイシェントの現状 医療機関におけるクレーマーとは、不平・不満・怒り等の感情をもって、要求を法的な根拠もなく押し通そうとする人をいいます。 また、医療現場で、暴力や暴言、理不尽な要求を繰り返す患者やその家族を、特に「モンスターペイシェント」といいます。昨今、医療現場におけるクレームやモンスターペイシェントによる被害は増加の一途をたどっており、7割近くの医師に対応経験があるというデータもあります。 正当な理由がない限り診療を拒否できない(応召義務)ことや、怖い患者がいるといった風評被害や仕返しを恐れたりすることも、事態の悪化を招く要因と考えられます。 2.クレームの種類 (1)クレームが起きる例 医療現場で起きるクレームの発端例には,様々なものがあります。たとえば、医療過誤(の疑い)が起きた場合、個人情報の漏洩、医療従事者の言動や対応の悪さ、病室での紛失・盗難、説明(インフォームドコンセント)不足、転倒・転落事故等があげられます。 (2)クレームの内容 一言にクレームといっても、その内容は様々です。たとえば、話を聞いてほしい、説明してほしい、謝罪してほしい、お金を払ってほしい、再発防止策を講じてほしい等が考えられます。 3.対応方法 (1)初期の対応 何より、初動対応が肝心です。病院側の損害賠償責任が問題となる場合(賠償型クレーム)、病院側の損害賠償責任が問題とならない場合(非賠償型クレーム)に場合をわけて、対応を変えていく必要があります。そのいずれかを判断するために、まず、次の2点を行ってください。 ① 事実関係を確認(事実の問題)② 問題点の把握と検証(評価の問題) (2)一般的な注意点 上記①事実関係を確認するうえでも、次の一般的な注意点に気を付けてください。 ① ある程度の時間、相手の話をよく聞くことに終始しましょう その際、言い訳や積極的な反論はせずに、相手の話を聞くことに専念してください。また、丁寧な言葉遣いや対応を心がけてください。 ② クレーム内容を把握してください 相手の真意を見定めることに専念します。相手に要求を出してもらうようにするのが理想でしょう。 ③ 交渉窓口は一本化してください 交渉窓口を一本化することで事実や認識、考えの食い違いを防止します。また、院長、副院長など、病院幹部を安易に出さないようにしてください。相手に過大な期待を抱かせたり、その場での解決を求めてくる恐れがあります。 ④ 複数対応が原則です 交渉の際は複数で対応しましょう。交渉担当と書記担当といった具合に役割分担を決めて交渉に臨みましょう。その際、他の患者に迷惑がかからないように応対場所、時間に留意してください。交渉の際は録音をするようにしてください。 ⑤ 暴力や脅しがあった場合は、毅然とした対応をしましょう 弱みをみせるとそこにつけ入ってくるおそれがあります。また、緊急事態に備えて、事前の準備と確認をしておいてください。 ⑥ 対応マニュアルの作成、事案を共有する報告会を実施しましょう 普段から、対応マニュアルを作成し、クレーマー事案に備えたり、実際に事案が起きた際に事例を共有する報告会を実施する等して、院内での対応スキルを磨いておくことも大切です。 4.対応の際の注意点 (1)病院側の損害賠償責任が問題とならない場合(非賠償型クレーム) まずは、不快な思いをさせたことに関して、真摯に謝罪をすることをお勧めします。次に、クレームを生じさせた原因を説明しましょう。改善策を講じることを約束するのもよいでしょう。安易な金銭解決は絶対に行わないでください。さらなる要求へと発展するおそれがあります。 (2)病院側の損害賠償責任が問題となる場合(賠償型クレーム) 事実関係を確認して、医療事故等の原因を究明してください。 相手方の話をよく聞いて、要求の把握に努めてください。 保険会社や医師会と協議して、病院側の方針を決定してください。 責任が明らかである場合は、速やかに謝罪をするようにしてください。 賠償責任の有無が微妙な事案や責任がない事案では、訴訟等による法的解決 も検討する必要があります。 5.モンスターペイシェントへの対応方法 マスコミへばらす、医師会に連絡する、警察に告訴する、裁判をする、弁護士に相談する、暴力団関係者等の反社会的勢力との付き合いをにおわす等、脅迫、強要、恐喝をしてくることがあります。 このような脅しに屈せず、毅然とした態度で対応しましょう。その際のやりとりを録音する等、証拠化しておくことも大事です。場合によっては、警察に被害届を出したり、弁護士に相談して示談交渉や法的対応をしてもらうことも検討されることをお勧めします。 クレーマー・モンスターペイシェントに関してお困りの病院・クリニック経営の方は、この分野に詳しい弁護士にご相談ください。
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