医療法務コラム
歯科医院における法律問題
1.歯科医院における弁護士の役割
(1)歯科医院を経営されておられる方におかれましては、患者との治療費未払のトラブルをかかえていらっしゃる方もおられるかと思われます。また、従業員との労務関係のトラブルも少なくありません。
(2)さらに、歯科医院では設備を整えるために高額な医療機器を購入されるかと思われますが、その医療機器に問題が生じ、メーカーとの間でトラブルに発展することも考えられます。
(3)このように歯科医院の経営者の方にとって身近なトラブルがたくさんあります。これらの問題に対応するため、本記事では弁護士と顧問契約をするメリットをお伝えしていきます。
2.患者とのトラブルについて
(1)患者の方から、従業員の態度が悪いとのクレーム、予約のミスなどに関するクレーム、治療行為について説明不足であったとのクレーム、治療後に生じた損害に関するクレーム、治療費の返還や未払いといった問題が想定されます。
(2)これらのクレームや治療費に関する請求について実際に歯科医師の方が対応されるとなるとかなりの負担になります。対応によっては患者から訴訟を提起されることも考えられます。歯科医師の方が必死に対応されても、かえって患者を刺激してしまい、不利になってしまうこともあります。
(3)万が一上記のようなクレームが来てしまった場合には、弁護士に相談することをお勧めします。弁護士に相談していただければ、窓口は弁護士となり、歯科医師の先生に代わり交渉をしてきます。そうすることで歯科医師の先生の負担を減らし、本来の業務に集中していただくことができます。
(4)また説明不足であるといったクレームが来る前に、弁護士にご相談いただければ、相談をしながら説明義務違反になっていないか、裁判例が求める説明義務の水準を満たしているかといった観点について助言させていただくことも可能です。
3.従業員とのトラブルについて
(1)従業員との間には、問題行動ばかりをとる従業員への対処、従業員間のパワーハラスメント・セクシャルハラスメントへの対応、従業員の解雇等に関するトラブルが想定されます。
(2)従業員間のトラブルを抱えていますと院内の雰囲気が悪くなり他の従業員の方の離職にもつながってしまうおそれがあります。従業員間のトラブルが生じてしまった際にも弁護士に相談されることをお勧めします。ハラスメントに関するトラブルでは加害者側の従業員への対応だけではなく、被害者側の従業員へのフォローに関する対応も検討します。こうすることにより、従業員の離職等を防ぐことができる可能性が高まります。
(3)従業員とのトラブルが発生する前に未然防止の観点から就業規則や雇用契約書のチェックもさせていただきます。こういった書類を法的観点から整えていくことで将来のトラブルを未然に防ぐこともできます。就業規則につきましては、10人未満の歯科医院は法律上作成する義務はありませんが、トラブルの未然防止の観点から作成されておくことをお勧めします。弁護士に相談していただければそういった書類の作成からチェックまでさせていただきます。
4.まとめ
以上のように歯科医院においても様々なトラブルが想定されます。このようなトラブルが生じてしまったときにすぐに対応できるように法律事務所と顧問契約を締結されておくことをお勧めします。また、トラブルを未然に防ぐためにも一度弁護士に相談し、現在の体制や書類に不備がないかといった点についてチェックを受けておくのも良いかと考えます。
また、上記以外にも口コミに記載された誹謗中傷への対応や医療機関に対する広告規制への対応といった問題も生じる可能性があります。
このような場合にすぐに対応できるよう法律事務所と顧問契約を締結していただき、不測の事態に備えられておくことをお勧めします。